むくみ(浮腫)外来のご案内
足(脚、下肢)がむくむといっても、様々な病状があるかと思います。両足がむくむ場合や脚のみの場合、むくむ場所もさまざまです。以下にむくみの原因として頻度の高いものを挙げてみました。
むくみの原因
A)両足がむくむ場合:どちらかというと全身の疾患が疑われます。
生理的な浮腫・体質・生活習慣
長時間の立ち仕事や同じ姿勢を長くつづけると、むくみがでることがあります。また飲酒のあともむくみが出ることがありますが、軽度ですぐ直るようであれば心配ありません。
心不全
両側の下腿部以下にむくみがでます。体重も増え、息切れを伴う場合は早期の治療が必要です。顔にむくみが広がることもあります。
腎不全・腎疾患
症状が現れ難い病気です。当初は無症状ですが、足や顔にむくみがでて、全身に広がるようであれば、かなり重症です。
甲状腺機能低下症
甲状腺の働きが悪くなると、足や顔にむくみがでることがあります。ほかに、疲れやすく無気力になったり、寒がりになり、物忘れがひどくなったりするような症状を伴うことがあります。
低栄養・廃用・加齢
高齢の下腿に多いむくみです。あまり歩かなくなったり、栄養状態が悪くなることで、むくみを来します。
肥満
皮下脂肪が多いとリンパの流れが悪くなります。また、下肢から心臓方向に血液を戻す力も低下します。その他、様々な要因が関与しています。
薬の副作用
血圧の薬や痛み止めの内服など、薬の影響で、むくみがでることがあります。
B)片足だけむくむ場合:どちらかというと、局所の疾患が疑われます。
深部静脈血栓症(エコノミークラス症候群)
下肢静脈の深部にある静脈に血の塊(血栓)が出来ることで生じるむくみです。片足にむくみが急激に発症して痛みを生じる場合には命に関わる場合がありますので、直ちに医療機関を受診して下さい。
下肢静脈瘤
静脈弁が壊れることで、血流が下肢(特にふくらはぎ)にたまり、むくみを生じます。
リンパ浮腫
癌の手術でリンパ節を切除することで、むくみが出ることがあります。また、原因不明の場合もあります。
炎症性(蜂窩織炎、リンパ管炎)
細菌の感染により、下肢の一部が赤く腫れて、むくみや痛みを生じます。抗生剤の治療を行います。上記の深部静脈血栓症と紛らわしい場合があります。
検査内容
当院ではまず以下の診察や検査を実施いたします。これらを行うことで、むくみの原因のおおよその検討がつきます。
診察
視診、触診を行い、周径の計測、体重や体組成の測定などを行います。
下肢静脈エコー検査
下肢の静脈の閉塞、血栓の有無、静脈の太さや静脈弁の働きなどを調べます。
血液検査
必要に応じて、心機能、腎機能、甲状腺、血栓形成の指標などを調べます。
むくみの治療
内服治療
必要に応じて内服薬を処方いたします。
理学療法
原因により、弾性ストッキングをご紹介することもあります。
生活指導
食事療法や運動療法をお勧めする場合があります。
下肢静脈瘤手術
専門医療機関の紹介
さらに専門的な検査や治療が必要な場合には、ご希望の医療機関をご紹介いたします。
むくみでお悩みの方は、当院の受診をご検討下さい。
高齢者の浮腫:両足がむくんでいます。足先に行くほどむくみが強くなります。指で押すと痕がつきます。自覚症状が軽いことも多いです。
リンパ浮腫:右下肢全体にむくみがあり、左にはむくみはありません。足が重い、だるい、足が曲げにくいなどの症状を来します。
下肢静脈瘤の浮腫:右下腿部にむくみがあり、血管も浮き出ています。左下肢には認められません。